このページから始まるホルモン療法についての説明は、リニューアル前のたんぽぽのホームページに掲載した内容です。ご了承ください。(2005年1月~3月作成)
子宮内膜症&子宮腺筋症 |
(1) 偽妊娠療法 |
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(2) ダナゾール療法 | ||
(3) GnRHアゴニスト療法(GnRHアナログ) |
スプレキュア | |
ナサニール | ||
リュープリン | ||
ゾラデックス | ||
子宮筋腫 |
GnRHアゴニスト療法 (GnRHアナログ) |
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※逃げ込み療法 |
筋腫も内膜症も、薬物では根治できません。薬は、自分にとっての「目的」を考えてから、それに合った方法を選ぶ必要があります。一般に使われている薬の種類には
(a)いわゆる対症療法としての薬(鎮痛剤、造血剤、止血剤など)のほかに、
(b)ホルモン薬、
(c)漢方薬があります。
(a)は目的がはっきりしていますが、問題は(b)、(c)で、目的がよくわからないまま漠然と、使用しようかやめようかと迷う人もいるようです。しかし、たとえていうなら「闇夜に鉄砲でも、どこかにあたるだろう」というような考えで薬を選択するのは、危険です。(b)や(c)は、その特徴を知り、自分の状態や希望、考えに合うかどうか、よく検討してから効果的に使いたいものです。
なお、薬というものは、専門家のあいだでも評価が分かれ、医療機関によって違う説明がなされることがよくあるので、そのことへの留意も必要です。
卵巣機能を抑えて月経をとめる薬です。色々な種類がありますが、作用によって大別すると3通りあります。
(1)偽妊娠療法、
(2)ダナゾール療法、
(3)GnRHアゴニスト(GnRHアナログ)療法の3つです。
(2)と(3)を総称して偽閉経療法という呼び方もあります。
使用中は、下腹部痛や貧血など、月経にまつわる辛い症状を一時的に改善することはでき、病変部の縮小も見られます。 ただし、(2)と(3)は長期に継続して使えない、いわば「緊急避難」的な方法で、最長6カ月の使用を終了したのちは、症状、病巣の状態とも元に戻ることが多いことから、
漢方療法や生活改善を行なって病巣の再燃を防ぐ努力が必要です。副作用も少なくないので、もともとの症状がそれほど苦痛でない、たとえば月経中だけ通常量の鎮痛剤を使えばふつうの生活が送れるくらいの人にとっては、利点の少ない方法です。
なお、ダナゾールもGnRHアゴニスト(GnRHアナログ)も子宮内膜症の薬として認可されていますが、子宮腺筋症の治療や症状の改善を「効能・効果」として挙げている薬剤はありません。 腺筋症も内膜症と同様、子宮内膜組織の増殖によってもたらされる病気であることから、全摘手術を避ける目的で、ホルモン療法を行なうことがよくあります。
しかし、腺筋症の病変は内膜症の病変と組織のタイプが異なるためにホルモン薬に対する反応が鈍く、内膜症に比べると治療効果に期待ができません。 偽閉経療法では、月経を止めることから、過多月経や貧血の改善は望めますが、効果はやはり一時的です。
上記のような「症状対策」としての使い方のほかに、手術前や後に、病変部の縮小、貧血の改善、術中の出血量の抑制、 術後の再燃の予防といった目的で使われることもよくあります。しかし、その効果に対する評価は医師によって異なるようです。 その治療をした場合としなかった場合のメリット、デメリットの確認が必要です。
使用期間ですが、目的の1つである手術前後の「病変部縮小」のためには、最低3カ月、標準的には4カ月の使用で十分で、 もう1つの目的である「症状緩和」のために、希望があれば6ヶ月(ダナゾールの場合は4ヶ月)までは継続使用できます。 (中には、1日の使用量を減らしてもう少し長期に使っている人もいます。)使い始めから使い終わりまでの数カ月を1クールと呼びます。
1クールを終えた後、病巣の再燃が認められて、再度の使用を希望する場合、半年程度の休み期間を必要とします。 これは、ホルモン薬で卵巣機能を抑えると骨量減少の副作用が起きるので、いったん骨量を回復させる必要があるためです。 休み期間を設けずに継続してホルモン薬を使用することは危険です。
ホルモン薬の使用中は内膜症の症状は楽になるものの、副作用が出ることもままありますので、 その損得をよく考える必要もあるでしょう。詳しくお知りになりたいかたは、 薬の添付文書(=製薬メーカーが薬につけて医療機関に渡している説明書)を医師や薬剤師に依頼して入手してください(インターネットで入手することも可能です。 「医薬品医療機器情報提供ホームページ」をご覧ください)。
なお、添付文書に説明されている副作用の中には、薬の発売時には公表されていなかった副作用が、数年後に認定され追記されたものもあり、 また今後も増える可能性もないとはいえません。それくらい、使用者の訴える副作用は多様ですが、その一方で全く副作用を感じない人もいます。
病気による症状が強い人の場合は、繰返しの使用を検討することもありますが、 そのつど薬のメリット(使用によって得られる効果)とデメリット(副作用)を比較しながら選んでいく必要があります。
治療法の検討にあたっては、今の自分の年齢と今後の人生設計を考慮しましょう。 たとえば、閉経年齢(平均51歳)に近いかたの場合は、 「逃げ込み療法」といって、ホルモン療法を数クール続けるうちに本物の閉経にもちこむ、というやり方もあります。
しかし、まだ閉経まで間があって、手術による根治療法を選択しない場合は、かなり長期にわたって薬物で、症状をコントロールしていかなくてはなりません。 また50歳近くても閉経には個人差があるので、必ずしも「あと2クールくらいで閉経する」と予測することはできません。そう考えると、
ホルモン薬だけでなく、なるべく漢方療法や生活療法も取り入れ、自分の人生設計にあわせて、その時々にあった治療法を選んでいくとよいでしょう。 どんな状況のかたにも当てはまる「スタンダードなやり方」はないので、「自分には、どういう選択が一番よいか」という熟慮が必要です。
次のページから、3通りのホルモン薬について簡単な説明をします。