発足当初は、子宮筋腫の体験者一人一人がもつ情報や体験を交換し、納得のいく治療やよりよい医療が受けられるようにしたいとの趣旨で 集まった子宮筋腫体験者の会でした。
現在は、筋腫で経過をみたり治療している方だけでなく、子宮内膜症や子宮腺筋症、卵巣のう腫の方、 これらで子宮や卵巣を摘出した方も参加しています。
これらの婦人科疾患に関し私たちが困っていること、怒っていること、知りたいことなどを、 私たち自身で話しあったり学びあうことで、解決したり前進していこう、という会です。1994年4月発足。現在、全国に約400名の会員がいます。
道端に咲くたんぽぽのように、「ありふれているけど、あなどれない」病気である婦人科疾患をもっとよく知って、 大切な自分のからだともっと明るく、上手につきあいたい、そんな思いを名称に込めました。
たんぽぽは婦人科疾患の当事者を会員とする自助グループです。
たんぽぽにとって「自助」とは「自己決定を支えあう」ということです。そのために以下のような活動をしています。
1)同じ疾患を経験している人同士が集まって、互いに励ましあって気持ちの整理をしたり、 治療法や日常生活上の注意などの具体的な情報を交換したりします。
2)会として情報提供をすることで、知識量で格差のある患者と医療者の不均衡な関係を改善し、 患者が自らの意志に従って治療法を選択できるようにバックアップします。
3)婦人科疾患をめぐる一般社会の偏見を除き、より正確な理解が広まるよう、外部に向けて情報発信していきます。
4)医療保険制度や医療機関・医療者の質の問題など、患者一人一人では解決できない制度的な問題について、 会として意見を表明し、よりよい婦人科医療の実現を目指します。
確かに最近では個人や企業が開設しているインターネットのサイトでも、 子宮筋腫や内膜症に関する情報を無償で得られるようになっています。 いちいち名前を聞かれたりせずに、匿名性を保ったまま情報が得られるのは確かに便利なことでしょう。
しかし、たんぽぽはあえてそうした時代の流れに逆らうことも必要なのではないかと考えています。 なぜならば、婦人科疾患を持つ人にとって、顔の見える関係はとても大切だと思うからです。婦人科疾患は“生身”の問題です。実際にコントロールできない出血に苦しめられたり、
周期的な痛みに七転八倒したり、妊娠がうまく行かなくて悩んだり…。しかもどんなに嫌だと思ったって、生身のからだを他人に見せなくてはならない…。
なかなか「バーチャル(仮想的)」で自由な、匿名性の世界の中に逃げ込むことが許されないのが、 “からだ”の問題ではないでしょうか。そうしたことを話し合うからには、やはり相手も“生身”の存在であって欲しい。
たんぽぽはそんな人たちを応援し、同時に自らも励まされ癒されたいと思う人々によって運営されている組織です。
“生身”の問題に向き合うために、たんぽぽは各地の例会、手術ビデオ上映会、セミナーやワークショップなど、 ネットの外の「リアル」な世界での活動に重きをおいています。インターネットが普及したとは言え、 まだまだネットに自由にアクセスできない方も大勢います。 そうしたデジタルデバイド(パソコンやネットを使える人とそうでない人の間の情報格差)を埋めるためには、 今後もできる限り紙媒体での情報提供を続ける必要があります。 会員の皆さんからいただく年間4,000円の会費は、そうしたリアルな世界での活動に必要な資金です。 機関誌を定期的に発行し、講演録を冊子にまとめて印刷するには、また電話相談や事務作業の拠点となり、 さらに印刷物の在庫を保管するための事務所を維持していくには、かなりのお金がかかります。 たんぽぽはまだ、リアルな世界に活動拠点を持たないバーチャルな団体にはなれないと考えています。
会員制をとる上で大事なことはお金だけではありません。 運営に携わっている側にとって、会員の皆さんからお名前をいただくことの意味はとても大きいのです。 スタッフとして活動する私たち自身も他の会員と同様に疾患の当事者です。
一方的に与えることに喜びを感じているのではなく、私たちもやはり周りからの支えを求めてたんぽぽで活動しています。 まったく名前もわからない不特定多数の人たちのために活動することは容易ではありません。
もちろんたんぽぽのように600人を超える大きな会では、一人一人の会員と実際に顔をあわせて交流することはできませんが、 各人のお名前をいただくことで、確かに生身の存在としてそこにいる誰かが私たちの活動を支えてくれているのだ、
という大きな安心感を得ることができ、それだけ責任感も増してきます。
匿名だから気軽に発言できるというのもインターネットのメリットですが、 たんぽぽではむしろ会員としてご本名で登録していただくことで、その中でお互いに責任を持って発言し、 本音で語り合えるような場を作りたいと思っています。
インターネットで情報が簡単に得られる便利な社会になりましたが、たんぽぽは顔の見える関係、 つまり、ひとり一人の顔が想像できる関係にこだわっています。せめて会の中では病気のことを隠すことなく、本音で語り合えるようにしたいからです。会員として登録していただき、「リアル」な世界で活動に参加しませんか。
あなたのご参加をお待ちしています。